液晶テレビ特需が生んだ最高益だったが…

AGCはもともと1907年、創業者の岩崎俊彌が板ガラスの国産化を目指して創立した。2018年までは旭硝子という社名だった。その名に「硝子」が入っている通り、いまでも住宅やオフィスビルなど建築用、フロントガラスやリアガラスなど自動車用、テレビやスマートフォンなど電子用といった多彩なガラス製品を手掛け、売上高の6割をガラスが占める。そのAGCがなぜバイオ医薬品に集中投資しているのだろうか?

話は十数年前に遡る。2010年、AGCは過去最高となる2292億円の営業利益を叩きだしていた。収益を支えていたのは液晶ディスプレーガラスと呼ばれる製品だった。

液晶テレビは、液晶と呼ぶ物質が動作する原理で動いている。AGCはこの液晶をはじめとした部材を挟み込むディスプレーのガラスを製造している。2010年前後はブラウン管から薄型の液晶テレビにシフトが始まり、各家庭で置き換えが進んだ。AGCはテレビ産業で起きたイノベーションを背景に利益を稼いでいたわけだ。