畑の大豆は、カラカラに枯れると根付きのままで引き抜かれ、ニオに積み上げられてさらに乾燥させられる。この大豆を好んで食べにくるのがキジとシカで、エゾノウサギもまた、よく現われた。

闇の向こうには、ぼーっと浮き出た大きな獣の姿が…

その日の夕刻、ニオに積み上げる作業をしていた人たちが帰った頃を見計らって、大友老人は銃を取って家を出、畑の縁近くにある豆ニオの根方に坐り込んで、また出てくるであろうシカを待った。