畑の大豆は、カラカラに枯れると根付きのままで引き抜かれ、ニオに積み上げられてさらに乾燥させられる。この大豆を好んで食べにくるのがキジとシカで、エゾノウサギもまた、よく現われた。
闇の向こうには、ぼーっと浮き出た大きな獣の姿が…
その日の夕刻、ニオに積み上げる作業をしていた人たちが帰った頃を見計らって、大友老人は銃を取って家を出、畑の縁近くにある豆ニオの根方に坐り込んで、また出てくるであろうシカを待った。
夕陽が山の端に沈むと、辺りはしだいに宵闇に包まれてゆき、見通しははっきりとは利かなくなった。老人は、一頭の牡ジカが多くの牝ジカを引き連れて闇の中から現われる有様を思い浮かべながら、耳をすましてその気配を窺っていた。
ここから先は無料会員限定です。
無料会員登録で今すぐ全文が読めます。
プレジデントオンライン無料会員の4つの特典
- 30秒で世の中の話題と動きがチェックできる限定メルマガ配信
- 約5万本の無料会員記事が閲覧可能
- 記事を印刷して資料やアーカイブとして利用可能
- 記事をブックマーク可能
