もし経営者になっていなかったら
理屈よりも性格や意欲など人間的な部分を重視する鈴木修は「(レスリングの)吉田沙保里はいい。彼女のような闘志を、日本の若者は持って欲しい」と話す。
「日本の中で一番優秀なのは官僚だ。彼らの頭脳を使い、例えば3つの答えを用意させる。その中から、政治家は一つを選べばいい。選んで実行するのが政治なんだ。なのに、政治家は自分たちで3つの答えを出そうとしているから、間違っとる。優秀な官僚を使えていない」
また、「本を読んで勉強するのは、東大生には敵わない」と話す一方で、「たった一回の入学試験では、人間の価値は判断できない」とも。
筆者が「もし経営者になっていなかったら、政治家になったのでは」と問うと、「百姓でもやっとったよ」と返ってきた。
鈴木修の政治好きは有名。田中角栄や山中貞則といった、超大物と接してきたせいかもしれない。東京支店長などを務めた彌吉正文元常務役員は言う。
「修さんは、共産党を除く、すべての政治家と話し合えた。公明党を含めてね。ただし、親が残した地盤で当選した二世や三世の、なにもしない議員たちを、すごく批判していた。実行力で政治家を評価していました」
国政選挙ばかりでなく、静岡知事選などの地方選挙でも、応援活動をすることもあった。「地方選などは、どうなろうとスズキの経営には何の影響もない。選挙(応援)は修会長の趣味でしょう」と笑うスズキ幹部もいた。
この夜は、話が弾んだ。
「金はやっぱり生きているうちに、使うものだ。バーに行ってパァーッと使うのが一番だろう。パァーッとな。テーブルにポンと金を積めば、みんなが使ってくれる。使い道を指示するほど、俺はうるさくはない」。相続税を取られたり、高額の戒名で坊主を儲けさせるくらいなら、財産を使ってしまおうと企んでいた。
