都心では他人の力が借りられるが、近くに他人がいない暮らしでは、夫婦が助け合わなければ生活は成り立たない。できれば、不測の事態に備え、夫婦2人ともに運転できるようにしておくとよいだろう。また、子どもにも遊びに来てもらおうと思うなら、子どもたちの意見も聞いておこう。
買ってもいい、ここで暮らしたいと思える場所が見つかったら、続いて物件探しを始めよう。ネットの不動産情報サイトなどで探しながら、地元の別荘専門の会社を当たるのが効率的だ。
物件を見るときにはまず権利関係をチェックする。一般の住宅と違い、リゾート物件は土地の境界線がはっきりしていないなど、後日のトラブルの種になりそうな要素が少なくないのだ。
境界線以外でいい加減なことが多いのは道路。道路のように見えていても実は建築基準法上の道路ではなかったり、公道からは他人の土地を通らなくてはいけない土地になっていたりなど、建てるに建てられない土地もあるので注意が必要だ。
もうひとつ、偽ブランド地も要チェック。軽井沢と名が付いていても実は小諸だったり、那須といっても東北道の東側だったりと、ブランド名を拡大解釈して使用している場合だ。こうした別荘地ではインフラや管理がきちんとしていないことがあるので、地元の人に聞く、地図で位置関係を把握するなどしてひっかからないようにしたい。
伊豆や日光など国立公園内の別荘地では建蔽率や建物の建築制限にも注意。広い土地に小さい建物しか建てられなかったり、色や材質など制限がある、敷地内の樹木を許可なく切ってはいけないなどのケースがあるのだ。特に伊豆は、見晴らしはいいものの傾斜地が多く、建築費が嵩むことも。
次に大事なのはインフラと管理。水道、電気などがきているか、そして除雪や草刈り、ゴミ出しなどの管理をきちんとやってもらえるかだ。管理がされていない別荘だと、週末は草刈りや除雪で費やすことになり、何のための別荘かということになりかねない。
そうした点から考えると、慣れていない人は管理の行き届いた大手の別荘地を選ぶのが賢明といえる。そうした場所であれば温泉を引くなどの費用も共同負担で安くなるし、古くから開発されている場所なら周辺の病院やその他の施設も充実しているからだ。
冒頭に述べたように中古物件も多く出回っているが、どうせ買うなら安モノ買いはしないほうが賢明。場所にもよるが、造成された土地でもリゾートなら坪数万円程度で済む。2000万~3000万円で上物を建てても、東京では叶えられない豊かな空間が手に入るのだから、そこをけちってシロアリだらけの物件を買っても仕方がない。
温泉を引くときには、温泉権には更新があること、毎月の使用料などの維持管理費に加えて、10年に1度程度は給水管の大規模な修繕などが必要なことを覚えておきたい。また、泉質そのものが、自分や家族に合っているかどうかを確認しておこう。
いずれにしても購入を決めたら、地域も物件も数を当たること。そのうちに予算、ライフスタイル、広さなどが具体的に見えてくる。仮に、夫婦で別荘地巡りをしているうちに別荘暮らしには向いていないと思ったら、それもまたよし。別荘は必ず買わなくてはいけないというものではないのだから、別荘地巡りという夫婦の新しい趣味ができたと思えば楽しいことだ。