コーチングのプロはどのように相手の話を聞き、心を開いているのか。傾聴のポイントを学べば仕事でも人間関係でも選ばれる人になれる。

指導や助言はしない「プロコーチ」の仕事とは

コーチングにはどんなイメージがあるでしょうか。「コーチ」と聞けば、指導者をイメージする人が多いでしょう。コンサルタントのように解決策を示してくれる存在と思うかもしれません。

鈴木 義幸(すずき・よしゆき) ​コーチ・エィ取締役会長、エグゼクティブ・コーチ。慶應義塾大学卒業。ミドルテネシー州立大学大学院臨床心理学専攻修士課程修了。経営層へのコーチングを行う。
鈴木 義幸(すずき・よしゆき)
​コーチ・エィ取締役会長、エグゼクティブ・コーチ。慶應義塾大学卒業。ミドルテネシー州立大学大学院臨床心理学専攻修士課程修了。経営層へのコーチングを行う。

私たちは「プロコーチ」という仕事をしていますが、指導や助言は一切しません。そのかわり、クライアントが自ら答えを出すことを手伝います。相手の中にある、本人さえ気づいていない内側の情報を一緒に探索して見つけ出す。それが私たちの仕事です。

「内側の情報」を見つけ出すにはどうすればいいでしょうか。人は他者から自分を守ろうという防衛本能があります。「内側に何がある?」と聞いても、心のシャッターが下りてしまうだけで、問題解決には至りません。

一緒に情報を発見する伴走者として相手に選んでもらうためには、シャッターを少しでも上げてもらわなくてはいけません。そこで役立つのがコーチングの技術です。

簡単なことからお伝えしましょう。

まずお勧めしたいのが、常日頃から、通りがかりの一言に思いを込めることです。

「おはよう」
「ありがとう」
「元気?」

一つ一つは大して意味をなさない声かけですが、それらの一言に相手を大事に思う気持ちを乗せることで、心のシャッターは少しずつ上がっていきます。

人が通れる高さまで上がったら、いよいよ探索です。基本的なプロセスは次の通りです。

最初に発見を促すための質問をします。そして答えを一つ受け取ったら、「そうなんだね」「そんなふうに考えていたんだ」と、自分が相手の言葉を受け取ったことを伝えます。