国の登録有形文化財が宿泊施設に変身

宿泊施設不足解消の手段としては、欧州観光地の宿泊施設が参考になるだろう。イタリアの「アルベルゴ・ディフーゾ」(地域全体をホテルに見立てて、空き家や古民家などを客室やレストランとして活用する分散型宿泊施設)のようなものは日本でも導入可能であるし、寺院や城などの歴史ある施設も、宿泊施設として使用することが可能である。

今人気があるのは、江戸時代の匂いがする酒蔵を旅館にすることだ。たとえば、兵庫県朝来市にある「竹田城 城下町 ホテル EN(えん)」は、元々は400年以上の歴史がある、国の登録有形文化財にも指定されている酒造をホテルとしてリノベートしたものだ。

明治時代につくられた母屋や蔵、離れなどをそれぞれ特徴のある客室にしている。フレンチレストランでは地元の但馬牛や香住ガニなどの食材を使ったレストランを堪能できるほか、宿泊者専用のフリーラウンジでは、但馬の地酒をはじめ、ビールやシャンパン、赤白ワインやウイスキー、焼酎、ソフトドリンクなど、常時約15種類の飲み物が用意されている。

宿泊客はチェックイン日の15時から、翌日10時のチェックアウトまで、観光の合間の休憩やディナー後のリラックスタイムなど、自分の好きなタイミングでお酒を満喫できるようになっている。

欧州では歴史的建造物を宿泊施設へ転用するのが一般

このような歴史的建造物をリノベーションして宿泊施設として活用するケースは、欧州にも数多く見られる。

たとえば、ドイツでは、シュロス(城)などをリノベーションして、宿泊施設として活用している。ライン川沿いにそびえる古城ホテル「ロマンティックホテル・シュロス・ラインフェルス・ザンクトゴアール」は13世紀に建てられた要塞をホテルに改造したものだが、眺めのよいレストランのほかに、プールやサウナなどの設備も充実している。

マスターベッドルーム
写真=iStock.com/VladimirSklyarov
※写真はイメージです
大前研一『ゲームチェンジ トランプ2.0の世界と日本の戦い方』(プレジデント社)
大前研一『ゲームチェンジ トランプ2.0の世界と日本の戦い方』(プレジデント社)

また、歴史を物語る破壊された部分は博物館として公開されている。宿泊料は非常に高額だが、多くの人々から選ばれている。

また、フランスのアルル地方にある「ジュール・セザール・アルル・ホテル」は、17世紀につくられたカルメル会修道院を利用した高級ホテルである。2014年に全面改装され、多くの観光客の受け入れに成功した。内装はフランスのファッションデザイナーであるクリスチャン・ラクロワ氏が手がけている。テラスつきのハイエンドのレストランや、屋外温水プール、スパなども備えている。

欧州の観光大国では、このようなやり方で宿泊施設不足問題を解決しているのだ。