ライフプランの設計で家計も家族も変わる

家計の見直し相談センター 藤川 太●1968年生まれ。自動車メーカー勤務を経て、FPに。著書に『小遣いは削るな!』などがある。

対策は2つある。1つはローンの条件変更をすること。返済期間を延長する、元金の返済猶予を受けて利息だけを払うなどの方法がある。だが、単なる一時しのぎ。問題を先延ばししただけだ。なかには、旧住宅金融公庫の非常に高金利のローンを払い続けている人もいるかもしれない。その場合は、借り換えで、金利が低くなる可能性もある。だが、今となっては稀なケースだ。ローンの条件変更は、根本的な問題解決にはならない。収入が減ったからと、安易に条件変更をすることは得策ではない。

解決策の2つ目は、自分の価値観や生活スタイルを変えることだ。そして、家計を見直し、無駄な固定費を削る。これは、根本的な解決策でもある。

40代以上の人、特にバブルの時代を経験した人は、幸せの概念を「お金」という物差しで考える傾向がある。お金を出して物を買う、それも「いい物」を手に入れることで、自分が満たされ、幸せになれると考えていた。だから見栄を張りたがる。固定費は見栄の固まりだし、身体でいえば贅肉のようなものだ。それを変えなければいけない。その意味で、今は、家族や友人など人との繋がりに幸せを見出すチャンスだ。

40代以上の人は、夫婦共に専業主婦願望が強い。だが、収入が減った以上、妻が働くことも考えるべきだ。車を保有する人も多いが、首都圏に住んでいる人は、公共交通機関だけで十分生活できる。

車を手放すだけで、年間50万円程度の支出削減につながるだろう。妻が働くことで、年間100万円程度の収入が得られるはずだ。この2つを実施すれば、年間150万円程度、収入が増えることになる。しかも、安定的な収入になるので、住宅ローンの条件変更で、一時的に楽になることとはまったく意味が違う。