「知り合いの主婦のご主人は大手電気メーカーのシステムエンジニアだったんですが、今年に入って営業に異動し、相当落ち込んでいると聞きました」

幅広い主婦ネットワークを築いて情報交換をしている女性は、こう語る。最近、こうした配置転換や子会社への出向などで、落胆するサラリーマンが多いそうだ。

まさに100年に一度の経済危機なのだ。下の表をご覧いただきたい。これまで発表された主だった大手企業の配置転換計画を編集部でまとめたものである。非正規社員ばかりでなく、正規社員もリストラされるニュースが続々と押し寄せる中、事業の見直し、規模縮小による社員の配置転換や異動、また子会社への出向などは、当然起こりうる事態なのだ。

経営側の本音は「首切りしたい」

名だたる大企業でも空前の規模での配置転換が始まった!
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名だたる大企業でも空前の規模での配置転換が始まった!

しかし、このようなムードは危ないと警鐘を鳴らすのは、労働経済ジャーナリストの小林美希さんだ。

「経営難、赤字を理由にした配置転換や異動は、正社員にとって受けざるをえない状況になっています。一方で、非正規雇用の労働者ばかりでなく、正社員のリストラを行いたいのが経営側の本音。とはいえ、あからさまに“首切り”できないため、ここで事業の見直しなどを理由に配転させ、辞めてもらう方向に進むケースも出てくるのではないでしょうか」

と、不況に便乗した配転、異動が今後起こると予想する。そのターゲットになるのが、バブル期に大量採用した40代の社員や、うつ病になって休職していたりする社員だと、小林さんは指摘する。この際、給料に見合った働きをしていない社員は切り捨てて、より社内をスリム化したい意図が透けて見えてくる。