テレビCMより「ケータイ」「チラシ」が効く

「モス寄ってく?」。学校帰りにモスバーガーにやってきた高校生たち。一人の男子高校生が、モスのきれいな女性店員に接客されて思わずドギマギ。友達に冷やかされたところで、「それが青春、モス気分♪」という歌が流れる……。

このモスバーガーのテレビCM、実は関東地区では流れていない。

「いま東京近辺ではテレビCMを流す量を控えています」

長らく店舗開発・調査畑を歩み、08年3月、マーケティング部シニアリーダーに就任した齊藤雅久氏。手前は、1972年東京・板橋生まれという設定のマスコットキャラクター「モッさん」。
長らく店舗開発・調査畑を歩み、08年3月、マーケティング部シニアリーダーに就任した齊藤雅久氏。手前は、1972年東京・板橋生まれという設定のマスコットキャラクター「モッさん」。

こう語るのは、モスフードサービスマーケティング部の齊藤雅久氏だ。

「東京というのはかなり特殊な市場で、お店の数も消費の動向も、相当尖っている部分があります。そういうところでテレビCMを打っても、費用に見合うだけの効果は得られにくい」

競合他社であるマクドナルドは盛んにテレビCMを流しているが、それもモスの倍以上の店舗数があればこそ。モスの場合、むしろ地方のほうがテレビCMの効果は高い。

それではテレビCMに代わる販促方法は何か。齊藤氏がリーダーを務めるマーケ企画グループおよび販売促進グループは、週1回の会議でそれを模索し続けた。毎週火曜日13時からの会議には、マーケ企画グループの5名、販促グループの15名の計20名が、来客や出張がない限り必ず全員出席する。時間は1時間と決め、延長はなし。

その会議で出てきたのが、携帯サイトの運営や駅貼りポスター、新聞折り込みチラシなどのアイデアだ。テレビCMを控えたことで浮いた約2億円をこれらに振り分け、売り上げ増につなげた。

具体的にはまず春のキャンペーンにおいて、1店舗あたり通常は5000~6000枚のところ2万枚の新聞折り込みチラシを撒いた。