不適切会計は「粉飾」が半数以上

上場企業で「不適切会計」を開示する企業が増えている。2015年の東芝の不適切会計事件をきっかけに、金融庁が「ガバナンス・コード」で、監査法人に厳格な監査を求めた結果、不適切会計があぶり出されたことも背景にある。また、業績目標に追われてプレッシャーから不適切会計に手を染めるケースも後を絶たない。2016年の不適切会計はコンプライアンス(法令順守)やガバナンス(企業統治)の不徹底から過去最多の記録を塗り替えたといえる。

2016年1~11月に不適切会計を開示した上場企業は54社(55件)に達した。すでに過去最多だった2015年(1~12月)の52社(53件)を上回り、年間60社に迫っている。

東京商工リサーチは、上場企業が「不適切な会計・経理」(不適切会計)で過年度決算に影響が出た、または今後影響が出る可能性を開示した企業を集計した。

※同一企業で2回の内容の異なる開示情報は、1社・2件と集計した。2016年に2回以上開示した企業は東芝テック(2件)の1社のみ。

2015年5月に発覚した東芝の不適切会計は、上場企業の決算に対する信頼性を揺るがし、ガバナンス強化を求める声が高まった。不適切会計を許さない監査体制の強化で、監査法人や社内監査の姿勢も厳格になり、結果として不適切会計があぶり出された。

ただ、企業側は期間利益の捻出や業績拡大が求められている。業績目標の達成に向けて親会社や連結子会社、関係会社はノルマを強化し、経営計画と現実のギャップが不適切会計を促す側面も残している。