がんの重粒子線治療は314万円也!

一連の医療行為を受ける際、保険診療と保険外診療(自由診療)を併用することは原則として禁止されている。よって保険が適用されない保険外診療を受けると、本来、保険が適用される診療も含めて、医療費の全額を患者が自己負担しなければならない。ただし例外的に、国が指定する条件に合致する保険外療法であれば、診察、検査、処方といった一般的な診察においては保険が適用でき、この部分は保険外併用療養費として健康保険から給付が行われ、自己負担分はその部分のうちの3割(三歳未満の乳幼児は2割)でよい。これを保険外併用療法という。

保険外併用療法には、大きく分けて評価療養と選定療養の2つがある。

保険外併用で必要な医療費は?

保険外併用で必要な医療費は?

評価療養とは、欧米など海外では認可されているが日本ではまだ認可されていない療法など、現段階では保険導入はされていないが、将来的に導入すべきかどうか評価を行う必要のある療法のこと。先進医療、医薬品の治験にかかわる診療、薬価基準収載前の承認医薬品の投与などがある。

一例を挙げれば、がん治療に使われる重粒子線治療(患者負担の費用は314万円=全額)は先進医療に該当し、中央社会保険医療協議会によれば、2008年度には634件が保険外併用療法として実施されている。

仮に総医療費が400万円、うち先進医療にかかる費用が300万円だとすると、先進医療の費用は全額を患者が負担し、通常の治療と共通する診察、検査、投薬、注射、入院料の合計100万円は保険が適用され3割負担(=30万円)になり、個人の負担額は合計330万円となる計算だ。もっとも、保険診療の一部負担分30万円については、高額療養費制度によってさらに支払額が軽減されることがある。