国民民主は「補正予算案反対」の切り札を失った
12月11日に自民、公明、国民民主三党が幹事長会談を開き、以下の内容に関して合意し、その内容を記した合意書に署名したのである。
この合意書の最大のポイントは、「いわゆる『103万円の壁』は、国民民主党の主張する178万円を目指して、来年から引き上げる」というところにある。
この合意書が交わされた事で、国民民主党は補正予算案への賛成を決断し、翌12日に無事衆院を通過することとなったのである。年内に補正予算案を成立させるためには、まさにギリギリのタイミングだったと言えよう。
「自民党税調のドン、宮沢会長は三党合意について苦虫を噛み潰したかのような表情で、『釈然としないものがある』と言ってみせたが、内心はほくそ笑んでいたんではないか。森山幹事長と宮沢税調会長は、『国民民主党の好きにはさせない』という点で完全に一致していた。だからこそその後の国民民主党との協議に関しては、『宮沢会長一任』を党税調インナーから取り付けていたのです」(自民党有力議員)
そうした状況の中、補正予算案が衆院を通過した翌日の13日、三党税調会長による協議が行われたが、そこで宮沢会長が示した引き上げ案は、「123万円」という極めて低いレベルのものだった。
もはや時すでに遅し。補正予算案への反対というカードを失ってしまった国民民主党にとって、これを押し返すだけの材料は何も残っていなかったのである。
「結局のところ国民民主党は、森山、宮沢という老獪な政治家にいいようにあしらわれてしまったのです。にもかかわらず、まだ交渉を続けようというのですから、おめでたい政党ですよ」(前述の自民党有力議員)
減税に関しては実質「ゼロ回答」
「現在、社会保険料改革の作業が進んでいて、週20時間以上働いた場合には収入の15%の社会保険料を収める方向で決着を見ることになりそうです。年収123万円だとすると、15%の社会保険料は18万4500円。つまり非課税枠を増やした分とほぼ同額が社会保険料として持っていかれるのです。一般会計と特別会計の違いはあるにせよ財政全体で見れば、財務省としては許容範囲となるのでしょう」(自民党税制調査会に所属する議員)
どうやらまたしても財務省に上手くしてやられてしまったようだ。