途方に暮れた村瀬さんは、金融庁の「金融サービス利用者相談室」に相談。そこでも「補償金は出るはず」との回答を得て担当者に伝えても「そんなわけがない!」とけんか腰でまくしたてられたという。

かくなる上は……と、村瀬さんと彼女は弁護士事務所に駆け込んだ。担当の弁護士は、親身になって話を聞いてくれたという。

「弁護士さんも『この条件なら確実に補償金が支払われますよ。保険会社の主張が明らかにおかしいです』と言ってくれて、あとはすべてお任せしました。弁護士さんが交渉に入ると、すぐに補償金が支払われたんです。それまでの苦労が嘘のようでした。まさかここまでおおごとになるとは全く思っていなかったんですけどね……」

漏水が発生してから約2週間、毎日仕事をしながら保険会社との攻防戦に明け暮れた村瀬さんは「人生一辛い時期だった」と、当時を振り返る。ちなみに、その後彼女さんとのご関係は……?

「3年前に結婚して、彼女から妻になりました。当時、僕はかなりテンパっていたのですが、お義父さんには『頼りになる男だ』と気に入ってもらえたようです(笑)。彼女は水浸しの部屋をキレイに掃除してくれたり、弁護士探しに奔走したり、いろいろとサポートをしてくれて助かりました。逃げてしまってもおかしくない状況なのに、一緒に解決してくれて本当に感謝しています」

漏水事件は、奇しくもふたりの絆を深める出来事となったようだ。

玄関の外に私物を置きっぱなしにしてしまった

騒音やゴミの捨て方など、集合住宅内で問題が起きると、全世帯のポストに「注意喚起」が記された紙が投函されることも。夫と3歳の息子の3人で暮らしている深谷優子さん(仮名・27歳)一家は、ひょんなことから“注意書き”の当事者になってしまったという。

「5階建て最上階の角部屋に住んでいたのですが、子ども用のスコップやバケツ、ベビーカーなどの私物を玄関の外に置きっぱなしにしていたんです。部屋の位置的に誰も通らないし、廊下にモノを出していても大丈夫だと思ったんですよね」

数カ月のあいだ、廊下に私物を置いていた深谷さん。するとある日「共用部利用時のお願い」と書かれた紙がポストに投函されたそう。