みぞおちのやわらかさがポイント

みぞおち付近は、横隔膜が上下する運動エリアでもあります。ゆるんでいるほど横隔膜はのびのび動きやすくなり呼吸が深くなるわけです。特に睡眠中は、副交感神経が活発に働く最高のリラックスタイムですから、できるかぎりゆるんでおきたい部分です。

みぞおちまわりのやわらかさは、腸骨の動きのやわらかさと連動する姿勢の左右バランスの安定の要です。平衡感覚の安定もここにかかっています。硬くなっていると、めまいや、乗り物酔いのようなムカムカ感、足元の不安定感にもつながります。

体癖……左右(消化器)型(お腹―特に上部がバランスの要となる)
3種体癖:なで肩で体型に丸みがあり、側面から見ると背骨の弯曲が大きい(左右曲げやわらかい)。食べることで集中する。ストレスも食べて解消する
4種体癖:怒り肩で体型が角ばっていて、側面から見ても背骨が直線的(左右曲げ硬い)。ストレスがあると食欲がなくなる
②布団や抱き枕を抱いて寝る/呼吸器をゆるめる
片山洋次郎『姿勢をゆるめる 疲れない身体と心の整え方』(河出書房新社)より

布団や抱き枕を抱える姿は横向きのコアラのようですが、腕や肩、胸などがリラックスしやすくなります。さらに、脚も使って抱え込むと、股関節から骨盤(特に、仙骨)がゆるみ、呼吸が深くなります。

疲れると肩をグルグル回したくなるタイプの人は、体質的に肩関節に力が入りやすく、胸の真ん中に硬さが残る疲れ方をしやすいため、ただ横向きに寝るだけでは胸がゆるみにくく、布団や抱き枕を抱えたくなるのです。

先ほどお話しした通り、近年の情報があふれる環境では、胸の中心部の膻中が意識や思考よりも先に、ハイスピードなスイッチング動作を繰り返します。パソコンやスマホに接する時間も長くなるばかりですから、頭以上に胸が疲れて硬くなりやすいのです。

ですから最近、さまざまな抱き枕が製品化され、よく売れているのも時代の必然でしょう。

胸をゆるませる別バージョンとして、胸の上に手を置くスタイルもあります。これは、多くの人がやったことがあるでしょう。これも胸をゆるめる寝相になります。

体癖……前後(呼吸器) 型(胸が仙骨の前後運動とともにバランスの要となる)
5種体癖:胸が反りやすい
6種体癖:胸がすぼみやすく「猫背」になりやすい