“ちょっと怖いエリア”を厭わない

例えば1997年、東京・新宿の職安通りにオープンした「ドン・キホーテ新宿店」がよい例である。職安通り一帯は今でこそ、我が国最大級のコリアン商業タウンとして栄えているが、当社が進出した当初は“ちょっと怖いエリア”で、当時の流通業界の常識からすれば、誰もが出店を尻込みするような街区だった。ドンキの社内でも「新宿店の出店はリスキー」だと根強い反対があった。

ところが、深夜も煌々と灯りをともして営業する新宿店が核となり、周囲に他の飲食店や物販店が続々と集まってきた。ドンキが街おこしの起爆剤となったのである。そうして職安通り一帯は今や夜も賑わいの絶えない商業街区へと変貌し、新宿店も当社を代表するようなドル箱店舗に成長した。

あいりん地区にも出店

他にも、2015年に開業した「MEGAドン・キホーテ新世界店」は、「あいりん地区」と呼ばれ、ガラの悪かった大阪・新今宮地区に店舗を構えたが、大人気店へと育っていった。ちなみに2022年4月には、同店隣接地に星野リゾートによるホテル「OMO7」が開業している。

このように当社は、他社が進出に二の足を踏むようなエリアに低コストで出店し、大繁盛店に成長させるという成功体験を積み上げてきた。

「陰極まれば陽転す」という格言がある。何事も行き過ぎれば逆に転じるという意味であり、つまり、大凶続きは大吉に近づいているとも言えよう。こうした運の流れに対する感受性を磨いた方が、少なくともゲン担ぎなどよりはるかに有用だ。

オリジナルサイトで読む