社会的サポートとがん発症リスクとの関係

研究者たちは、たとえ予後が悲観的であっても、より高いレベルの社会的サポートが不安を軽減することを発見しています。

進行がんの患者を対象としたある研究では、より高いレベルの社会的サポートを受けている人ほど、生活の質が大幅に高いことが示されました。また、この研究では、自分の健康状態について楽観的でないがん患者であっても、社会的サポートのレベルが高ければ不安のレベルが低くなることがわかりました。

同様に、ドイツでおこなわれた最近の研究では、乳がんを手術する前に化学療法で腫瘍を小さくするように言われた女性の心理的ストレスの影響を測定。研究者たちは、これらの女性は診断のショックのみならず、悪性腫瘍がすぐにではなく、数週間の化学療法のあとに切除されるという事実にも対処しなければならなかったため、とくにストレスの多い状況にあったのではないかという仮説を立てました。

研究者たちは、このような状況は異常にストレスがかかり、さらなる精神的な強さが必要になるだろうと感じました。

当然のことながら、研究者らは、自分の状況に対する心理社会的な適応が不十分な患者は、社会的な対処法も不十分であることに気づきました。彼らの対処行動の特徴は、あきらめと、社会的サポートを求めようとしないことです。

このような行動は、3~5年の追跡期間中に、がんの再発リスクだけでなく、別の種類のがんを発症するリスクを大幅に増加させることも明らかになりました。

しかし、いいニュースもあります。これらの研究者は、社会的サポートを求めるなど、対処法を強化・改善する方法を見つけた患者は、対処法を改善する努力をしなかった患者に比べて、がん治療に非常にうまく対処できることも発見しました。

写真=iStock.com/FatCamera
※写真はイメージです

100万分の9の仲間を見つけられる

ソーシャルメディアとテクノロジーは、同じ志を持つ世界中の人々とつながるために、数多くの新しい方法をもたらしています。2018年時点で、世界人口の51%にあたる約38億人がインターネットを利用しています。

つまり、たまたま近所や地域のコミュニティに住んでいる人と交流するだけでなく、同じ興味や診断、情熱を持つ人を世界中で見つけることができるのです。アプリやビデオ会議、バーチャルな交流会を利用することで、私たちは昼夜を問わず何百万人もの人々にアクセスできるようになりました。さらに、この技術によって、小学校や高校時代の友人など、音信不通だった人たちと再びつながることもできます。

劇的寛解を果たした人々はテクノロジーを利用して、特定の種類のがんのオンライン支援グループに参加したり、オンラインでがんの相談役を見つけたりすることで、より強力な社会的支援のネットワークを構築しています。

たとえば、劇的寛解者のボブ・グラナタは、100万人に9人しか発症しない珍しい虫垂がんを患っていました。その希少性ゆえに、医師たちは同じ診断を受けた元患者と彼を結びつけることができませんでしたが、代わりにボブはインターネットで希少がんのサバイバーを探しました。

ほかの劇的寛解者たちも、インターネットを使って地域の支援団体や楽しいグループ活動を見つけています。さらに、テクノロジーのおかげで劇的寛解者たちは、1日中いつでも人々とつながることができるようになりました。これは治療による不眠症に苦しむ人にとって朗報です。