「M字カーブ」はほぼ解消された

こうした流れで、女性の労働参加割合は著しく高まって参りました。その結果、女性のライフコースが著しく変化したのもデータで読み取れます。

図表6は、女性の年齢別の労働参加率をプロットしたものです。

1970年頃は、高卒女性が多かったため、20代前半で女性の労働力化はピークを迎え、その後、結婚→出産→育児と仕事を離れるケースが多かったために、労働力率は大きく低下します。そして、子育てを終えた40代でまた社会復帰するという形でした。こうした中だるみの折れ線カーブをアルファベットのMの字にたとえて、M字カーブと呼んだものです。ただ、当時はM字の両ピークでも、その労働力率は7割に届きませんでした。

その後、説明の通り進学率が上昇し、女性の労働力率のピークは20代後半へと後ろ倒しになっていきます。そして、ピーク時の参加率は8割を超えるまでになりました。同時に、M字のくぼみは年々浅くなり、出産育児期の年代でも、8割近くの女性が労働参加している状況になっています(※労働力率には「就労希望の失業者」「産前・産後休暇中、育児休業中で継職者」も含まれています)

図表=筆者作成
出所=総務省「労働力調査」

男性の労働力率のグラフを見ても大体95%程度なので、女性のビハインドはすでに10~15%程度にまで小さくなっているのです。「専業主婦などもはや絶滅危惧種だ」という極論も見受けますが、それを希望する夫・妻は少なからずいるので、この10~15%という差はなかなか埋まらないでしょう。とすると、量的に言えば、女性の労働参加は、もうかなりいい線まで来ているのです。

近い将来、女性の非正規就労数と正社員数の逆転が起きる

のみならず、近年は正社員、総合職、管理職の波が来ています。今後、女性の活躍は、量から質へと転換していくでしょう。

そのことを示すデータを最後に一つお見せしておきます。

図表=筆者作成
※出所=総務省「労働力調査」詳細集計

図表7は、女性の就業者数を雇用形態別に見たものです。長らく、主婦パートや派遣・契約社員の事務職などに押し込められ、働く人の数は増えども、その多くが非正規という状態だった女性の就労が、昨今は様相を異にしてきたのです。2014年以降、正社員の数はぐんぐん増え続け、一方、非正規は2019年から減少を見せています。近い将来、正規・非正規の逆転が起きるでしょう。

閉じ込められ続けてきた女性が、いよいよ、羽ばたく時代が目の前に迫っているのです。