「強いものをより強くすること」が重要

サムスンとSKハイニックスを擁する韓国は、メモリ大国となった。台湾には言うまでもなくTSMCがある。ファウンドリーで世界シェア1位、微細化でもぶっちぎりのトップを独走する、世界の半導体のインフラだ。中国には、ホンハイの大工場群があり、世界の半導体の35%以上を吸収し、各種電子機器を組み立てる世界の工場となった。

湯之上隆『半導体有事』(文春新書)

これに対して、日本は、韓国にも、台湾にも、そして欧米にも、半導体製造装置(およびその部品)と半導体材料を供給している。装置、部品、材料、その中の一つでも供給が止まれば、韓国も、台湾も、欧米も、半導体を製造できない。そのような重要な役割を日本は担っている。

世界中のファブレスが殺到するTSMCが注目されている。しかし、そのTSMCといえども、日本製の装置(とその部品)や材料なくして、最先端プロセスで半導体を製造することはできない。その装置の半分弱が日本製であり(部品レベルでは6~8割が日本製)、材料の7~8割が日本製なのだ。

したがって「強いものをより強くすること」を第1の政策に掲げるべきである。これが、日本半導体産業に対する筆者の提言である。

意見陳述は政策にまったく生かされなかった

意見陳述の時間は15分だったが、筆者は5分以上超過してしまった。しかし、筆者の意見陳述を止めるものは誰もいなかった。衆議院議員からは、大ブーイングが来ることを覚悟していた。これまでの政府および経産省の政策を全否定したからである。

ところが、意外なことに拍手喝采を受けてしまった。そのため、意見陳述の後に、不思議な気持ちになるとともに、もしかしたら、筆者の主張が議員の胸に届いたのかもしれないという実感も湧いた。

しかし、残念なことに、筆者のこの意見陳述が、その後の半導体政策に生かされることは、全くなかったのである。それどころか、日本半導体産業は問題だらけで、無謀かつ無意味な方向へと突き進み始めていった。

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