「気象条件に左右される再生エネ問題」の解消方法

風力発電は風が吹かなければ発電できない、太陽光発電は夜になったら発電できない、そんな不安定な発電に頼っていては、日本中で停電が頻発する事態になりかねない、という意見がいまだに根強くあります。

むろん、ある地域のある風力発電機だけを見れば、風が弱ければ止まっているときもあるでしょう。風が強い時には出力が上がり、弱い時には出力が下がる不安定性も確かにあります。しかし、日本各地にたくさんの風力発電所ができ、それらを効率よく制御し配電するネットワークを構築できれば、その問題は解消へと向かっていきます。太陽光発電も、昼間に発電した電気を溜めておく蓄電池の技術革新と普及が進めば、問題はほぼ解決できるはずです。

「再生エネの主力電源化」でこそ問われる日本の底力

これまで、主力電源はあくまでも火力や原子力で、再生エネは補助電源という考え方で制度が組み立てられていました。これからは、再生エネが主力電源であり、それを実現するにはどういう技術開発が必要かという発想に変わっていくと思います。

そして、再生エネを主力電源に育てるには、たんに太陽光パネルや風力発電機の数を増やせば事足りるわけではありません。作って、送って、貯える、そのすべてに技術開発が必要で、そうした技術開発やインフラ整備を促進するための資金面での後押し、法改正や規制改革のような政策面での後押しをどう設計するか、これが第一の課題です。

2050年、原発は「ほぼゼロ」に近づいていく

原子力発電については、11月11日に村井嘉浩宮城県知事が東北電力女川原子力発電所2号機の再稼働の前提となる地元合意を表明したように、これからも全国各地の原子力発電所で再稼働の動きが出てくることでしょう。その一方で、原子力発電所の新増設については、仮に政府が推進しようとしても、福島第一原発事故の記憶が残っているうちは、それを受け入れる自治体が数多く出てくる状況にはならないと思われます。

原子力発電所の運転期間は40年と規定され、原子力規制委員会の認可を受ければ、20年を超えない範囲で1回限り運転期間を延長できるとされています。現在稼働中あるいは再稼働に向けた準備を進めている原子力発電所の多くは1980年代~2000年代に運転を開始しています。

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したがって、仮に再稼働がなされても新増設が行われないとすると、2050年時点で稼働している原発はほぼゼロに近づいていくことになります。したがって、2050年の電源構成を再生可能エネルギーで100%賄うぐらいの高い目標設定を行って、いまから強力な制度設計を行っていく必要があると思います。