友達の通っている教室が、わが子に合うとは限らない

では、こうした情報はどこから仕入れているのか。一番多いのは、親しいママ友からの情報だろう。また、子供から「○○ちゃんは、4月から塾に通うんだって」と聞くと、「うちもぼんやりしていられない」と気持ちが焦り、同じ道を進むこともある。今の時代は、インターネットやSNSを通じてありとあらゆる子育て情報が流れてくるから、「これをやらないとうちの子だけ損をするのではないか」と思い込んでしまう親は少なくない。

子供にはそれぞれ個性がある。友人の子には有効だったことが、わが子にも当てはまるとは限らないのだ。例えば、先に挙げた低学年向けの算数塾は、もともと算数が好きだったり、得意だったりする子なら、小学校の勉強よりも楽しくてワクワクするだろう。しかし、そうでない子にとっては、先取り学習はあまり効果がない。それよりも、今は基礎の計算力をしっかり鍛えるほうがいいだろう。

近ごろ人気を集めている理科実験教室も同じことが言える。多くの理科実験教室では、先生が子供たちの前で実験をやってみせる。「わ~! 色が変わった!」とその時は驚くけれど、実験を見ているだけの子にはあまり意味がない。行かせるのであれば、全員参加型の少人数の教室で、実際に自分の手でできるところがいい。何よりも「なぜそうなるのか?」と、興味を持つことが大事だ。興味を持てば、もっと知りたいと前向きな学習につながっていく。また、自分自身で体験し、深い納得を得られれば、記憶から消えることはない。

子供が楽しそうなら続ければいい

親が良かれと思ってやらせるものには注意が必要だ。誤解しないでいただきたいのが、こうした教室や、習い事をさせることが悪いと言いたいわけではない。幼児期の子供は何に興味を持つかわからないので、いろいろやらせてみるのはいいことだと思う。

しかし、やりたくないものを無理にやらせたり、習い事でスケジュールがいっぱいになってしまったりすることには賛成できない。いろいろ試して、子供が楽しそうにやっていたら続ければいいし、つまらなそうにしていたらサクッとやめてしまえばいい。

わが子の失敗防御のために、親が先回りしすぎないようにしてほしい。昔から「失敗は成功のもと」と言われるように、人は失敗から学ぶことが多い。失敗できない子供は、学ぶ機会を奪われる。それは、子供にとって本当にいいことなのだろうか。