「病気とはいえ、コスト意識は持たなければいけません。高額な先進医療だからといって必ず治るわけでもありません。どの治療にもメリットとデメリットはありますが、そのあたりをきちんと把握している人は少ない。保険診療で受けられるがんの『標準治療』は、『科学的根拠(エビデンス)に基づいて推奨されるその時点での最良治療』ですから、日頃から医療などの情報収集は不可欠です」(黒田さん)

がんを告知されたら、自分が加入している生命保険の入院給付金や通院保障など特約のチェックを行うこと。契約内容をきちんと把握してない場合があるうえ、請求しないと支給されない。

「意外と知らない人が多いのが、余命宣告を受けたときに生前に給付されるリビングニーズ特約です。特約は無料で、税金がかかりません。仮に、宣告された6カ月を超えて生存しても返す必要はありません」(黒田さん)

健康保険や国民健康保険加入者は高額療養費制度が使えることも忘れないこと。医療費の家計負担が重くならないように、病院や調剤薬局の窓口で支払う金額が1カ月で上限額およそ8万~9万円(上限額は年齢や収入に応じて定められている)を超えた場合、その超えた額が戻されるというものだ。

利用料が払えず「有料老人ホーム難民」

「夫婦でゆったりとした食堂や温泉のような浴室、豪華なトレーニングルームなどの充実した有料老人ホームに住んで悠々自適に過ごしたい」という人たちが増えているという。

だが、そうした施設ほど入居一時金は高額で、月々の利用料は20万~30万円の支払いになる。黒田さんは「息子が会社経営者で収入が高く、立派な有料老人ホームに入居させてくれたのはいいが、息子の事業が傾き、援助が滞り、退去しなければならなくなったケースもあります」と警告する。

現役時代からの貯金の一部を入居費用に充て、夫と妻の年金で利用料を払おうとする場合もかなりリスキーだ。

「こういう人たちは60歳前から入居するケースもあります。元気なうちはそこを拠点に旅行に出かけ、介護付きであれば介護もそこで受けようという心づもりなのでしょうが、想定外の出費で、部屋のグレードを下げるか退去するしかないという状況に陥ることも起こりえます」(黒田さん)