1:ヒルトン

ヒルトンをキーブランドとするチェーン。のちのホテル王コンラッド・ヒルトンが1919年に一件のホテルを買収して始まった。1930年前後の世界大恐慌も乗り越え、第二次大戦後にプエルトリコ、63年にはアジア初進出の東京ヒルトンを開業させるなど、北米以外の海外にも積極進出した。北米と海外は別々に運営されていたが近年統合された。

創業者からその名をとったコンラッドは、かつて北米ヒルトンの海外展開ホテルの名称であり、今ではヒルトンの上級ブランドとなっている。49年にコンラッドがニューヨークの超著名最高級ホテルを取得して始まったザ・ウォルドルフ=アストリアは、最近ではコンラッドの上級ブランドとして展開している。ヒルトンよりも下に位置するブランドとしては、日本にも数軒あるダブルツリー(元々は別のチェーンであった)などがある。

当時ハリウッドを代表する女優であったエリザベス・テイラーの最初の夫が、創業者の長男コンラッドJr.だった。このチェーンは芸能ゴシップ、芸能界との関わりで華やかさや知名度を伸ばした。

2:スターウッド

スターウッドは以下のブランドを中心に構成されるチェーンである。

シェラトン……ヒルトンのライバルとなるアーネスト・ヘンダーソンが1937年から急拡大させたチェーン。かつてはヒルトンと2大チェーンといわれた。発展の途中で、1904年開業のニューヨーク随一の宮殿風ホテル、セントレジスを傘下に収めた。現在、セントレジスはウェスティンの上級ブランドとして展開している。

ウェスティン……1930年開業。ウェスタン・インターナショナルを改称し後にユナイテッド航空の傘下に入った。70年代にハイアットに対抗する斬新な建築で名を馳せ、先進的なイメージを確立させてた。その後シェラトンと合体してスターウッドとなり、シェラトンよりもやや上級なブランドとなっている。

その他にも、やや下のクラスのブランドであるフォーポインツや、セントレジスと同じクラスのラグジュアリー・コレクションなどを保持している。

3:マリオット

マリオット……1927年にジョン・W・マリオットが一軒のルートビア・スタンド(飲食店)を開業、その後給食事業、特に機内食で急成長した。元々はフードビジネスの企業だった。1957年に後発の勢力としてホテル事業に参入。以来拡大を続け、後年、元エールフランス系の高級チェーンだったル・メリディアンや、ラマダの高級版のルネッサンス等も合流させた。最近ではスターウッドも傘下に入り、現在、世界最大級のチェーンとなっている。

ザ・リッツカールトン……1927年、セザール・リッツ(1918年死去)の名を冠したザ・リッツ・カールトン・ボストンが開業した。1983年にモナークというホテルをアメリカのアトランタに計画中であったデベロッパーが、このザ・リッツ・カールトン・ボストンをロゴ、商標使用権等含めて買収し、この名の最高級ホテルとしてチェーン展開を開始した。発祥がアメリカ南部の企業であるという経緯により、このチェーンは米南部特有の「サーバント的サザン・ホスピタリティー(他人に温かくする、アメリカ南部のおもてなしの習慣)」が色濃い。強いコーポレートカルチャーを反映した「クレド(信条)」はその好例である。その後、マリオットの傘下に入り同チェーンの最高級ブランドとして運営されている。