6:フォーシーズンズ

1970年代から中小規模の最高級ホテルのみを一貫して展開するユニークなチェーンとして現在に至る。92年に香港でスタートしたリージェントのチェーンを傘下に収めて拡大を果たした。現在の主要拠点であるビバリーヒルズやニューヨーク(ここは開業時すでにフォーシーズンズ)は元はリージェントの物件であった。ザ・リッツカールトンと好対照の、スマートで洗練された施設とサービスに定評あるチェーンである。

7:ペニンシュラ(香港上海ホテルズ)

アジアでもっとも著名なホテルの一つ。1928年に香港・九龍半島(半島=ペニンシュラ)の先端にブリティッシュ・コロニアル・スタイルの最高級ホテルとして開業した。その後チェーンとして拡大するが、そのペースは緩やかで現在でも全部で10軒に満たない。主要チェーンとしては、もっとも少ない軒数となっている。

8:マンダリン・オリエンタル

マンダリン・オリエンタル……1963年、香港島に英国系最高級ホテルとして開業。香港では長らくペニンシュラとの“2巨頭体制”が続いた。その後、タイのジ・オリエンタルを傘下に収めて同名のチェーンとなる。1980年代ごろから香港拠点の最高級ホテルチェーンとしてじわじわと勢力を拡大している。

ジ・オリエンタル(現在はマンダリン・オリエンタル・バンコックに改称)……1876年開業のアジアを代表するコロニアル・スタイルの最高級ホテル。ペニンシュラ、ラッフルズ(シンガポール)と並び評される。

9:シャングリラ

マレーシアのペナンでラササヤンというホテルを営んでいたマレーシア拠点の華僑系企業が、1971年にシンガポールにシャングリラを開業した。桃源郷のイメージの“シャングリラ”を体現した南国風の広い庭とプールに特徴がある。このホテルの成功をうけてチェーンとして勢力を伸ばす。その後、中国で急激に軒数を拡大して質量ともにメジャーなチェーンとなった。マンダリン・オリエンタルやペニンシュラよりも“アジア感”を強く打ち出した施設とサービスに特徴がある。

以上が主な外資系ホテルチェーンの歴史的な経緯である。ホテル選び、ひいては自己表現の一助として参考にしていただきたい。ここで注意点を一つ。同一チェーン、同一ブランドであっても、事業所ごとに水準感には差があるため利用時に大きな違いを感じることもある。頭の片隅に留めおいてほしい。

(イラスト=富田茜、写真=iStock.com)