教科書の「例文風」が伝わるヒントに

「Aさんを恐れるあまり、X党には自由がない。本当に怖いものを忘れている。本当に怖いものはAさんではない。国民目線を失うことだ」

「何がどうした。あるものはAではない。Xだ。」

まるで、語学書の例文かのような「何は、どうした」の短文であり、紋切型で理解しやすく覚えやすい。理解と記憶を促すことを目的とする語学書にこうした短い例文は好まれるけれど、つまりは、これが覚えやすい型のヒントというわけだ。こうした型を使った上で、聞き手が内容を理解する“間”をとり次に進んでいくことで、わかりやすく記憶しやすくなるのである。

営業でもプレゼンでも、あらゆる場面で「相手が自分の話の内容を憶えてくれる」というのは、最終的には自分が伝えたいことを理解し、また広めてくれる可能性すらはらんでくれることになる。すべてが“英語例文風”では味気ないけれど、ポイントに使われる「結論先行紋切型」は、きっと端的に伝えるために有効に働くだろう。

さて、進次郎氏の演説では、周りを巻き込み聞き手を話の中に引き込む特徴も見られ、「だから一緒に~をしましょう」といった表現で同調を呼びかける上手である。最近の選挙遊説ではこんな発言を見かけた。
「今日は私の初めての選挙で支援いただいたかたも多くお見えです。あの時は民主大ブーム、自民超不人気、小泉への世襲批判、まさに『3本の矢』が私に向かってきた選挙でした」

周りと思いを共有した上で、自虐ネタの3ポイントを並べて、「逆風の3本矢」のキャッチをつけている。短い言葉や文章は、長い文章に組み込んでもインパクトを持たせる効果を発揮できるのだ。

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