日本は“失われた35年”からの脱却を目指せ

図表2は、日本の課題を「政府」「企業」「ビジネスパーソン・生活者」別にまとめたものだ。

まず政府は「失われた35年」からの脱却を目指すことである。そのためには、真の観光立国を目指すべきだ。富裕層も含めて海外から呼び込み、50兆円の産業をつくるのが一つ。そして、総額2000兆円にのぼる個人金融資産の活用だ。「失われた35年」からの脱却は、この2つしかない。

2024年のインバウンド客数は3600人万人以上であり、これが5000万人になれば、一人が100万円使ってくれるだけで50兆円の規模になる。GDPの10%がここで生み出されることは非常に大きなチャンスだ。

大前研一『ゲームチェンジ トランプ2.0の世界と日本の戦い方』(プレジデント社)
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一方で、2000兆円を超える個人金融資産をどう運用に回していくか、そこから得た金融のキャピタルゲインをどのように国内経済が拡大再生産できる方向に持っていくか、が重要なポイントになる。当然、10年続けて効果のなかったアベクロの反省から、金利を大幅に上げて貯金が膨らんだ分を消費に向かわせる政策が重要となる。

次に企業は「サプライチェーンのシフト」と「AIシフト」の2つのシフトを進めなければならない。トランプ関税によるサプライチェーンの変化は、企業にとって重要な問題だ。「製造は中国で行う」「エネルギーは中東から買う」といったこれまでの前提がずいぶん変わってくるだろう。北米においても、カナダやメキシコでつくってアメリカ市場に持ち込むという構造が崩れる可能性が高まっている。

教育問題は個人が自分事として考えていくしかない

最後に、ビジネスパーソン・生活者は、リスキリングやマッチング、家庭教育の見直しが重要である。義務教育課程または幼小中高大といった人格を形成して稼ぐ力を獲得していくための教育については、日本の将来の国家戦略や、日本経済がどういう姿形のものを目指すのかを見据えながら、それを支えられるスキルセットを紐解いて学んでいく仕組みにしていく必要がある。

ただし、国の教育方針は根本的には変わらないため、子どもや一族の教育は個人が自分事として考えていくべき課題だ。