1990年代~2000年代前半とは状況が大きく変わった

念のために付言しておくと「偏差値上位の公立校なら大丈夫」というわけではない。公立高校のうち伝統あるいわゆるナンバースクールでも同じようなことが起きている。伝統的な公立進学校の進路成績がそれでもなお良好なのは、教員が凄いのではなく生徒の質が高いからだ。ようするに私的な時間を勉学に割いてくれる勤勉で優秀な生徒がいるから名門校の「看板」が保てているというだけだ。

教員の質がもっとも高かったのはおそらく就職氷河期世代が20歳台だった1990年代~2000年代前半で、この頃は名だたる国立大学や公立大学を出た優秀な若者たちが(民間の労働市場が門戸を閉ざしていたので)学校教員になろうと殺到し、教員採用試験はすさまじい高倍率を記録していた。現在は信じがたいことに倍率1.1倍とか1.2倍とかほとんど競争がないに等しい自治体も続出し、それでも辞退者が続出している。

ほとんど競争率がないに等しい採用試験をそれでも辞退するのは、教員の「働く環境の悪さ」が知れ渡っているからで、各地の教育委員会はこれを改善して少しでも若年労働力の確保に努めたいと考えている。業務時間を大幅にオーバーする可能性が高かったり、あるいは本来の業務にはないクレーム処理や困難生徒の自宅訪問などが発生しそうな業務を最初から「除去」してしまうのである。