自然派・健康志向のプライベートブランド「ビオラル」

オーガニック・ローカル・ヘルシー・サステナブル――4つの柱を掲げるこのブランドは、単なるPBの域を超え、ライフの新しい「顔」となりつつある。商品ラインナップは現在550品目を超え、近いうちに1000品目・400億円規模を目指す。岩崎社長は「オーガニック市場は、今後20~30倍に伸びる可能性がある」と語る。

さらに見逃せないのは、販売の場が単なる売り場ではなく“買い物体験”として再構築されている点だ。2025年春に開業した「ビオラルうめきた店」(大阪市北区)はその象徴である。グラングリーン大阪の一角に誕生したこの旗艦店は、オープンキッチン型のカフェを併設し、棚の商品がそのままランチメニューに姿を変える。店内にはオーガニック野菜、グルテンフリーの焼き菓子、サステナブルな雑貨類が並び、まるでライフスタイル提案型のセレクトショップを訪れたかのような感覚になる。

自然派、健康志向のビオラル
写真提供=ライフ
自然派、健康志向のビオラル

首都圏でも、吉祥寺や下北沢、新宿京王百貨店など、感度の高いエリアに都市型ビオラルを展開。売場面積はコンパクトながら、朝はグラノーラや豆乳、夜はワインと冷凍デリが手に入る“朝食から夕食までをカバーする棚づくり”が好評を博している。

ビオラルは、いまやPBという枠を超え、「意味で選ばれる買い物体験の場」として明確な個性を打ち出す存在になっている。

梅田・茶屋町のビル屋上の養蜂場で採れたハチミツを販売する「大阪ハニー」のハチミツやフィナンシェ、スキンケア用品を取りそろえる
写真提供=ライフ
梅田・茶屋町のビル屋上の養蜂場で採れたハチミツを販売する「大阪ハニー」のハチミツやフィナンシェ、スキンケア用品を取りそろえる

都心型「地域密着」という実験

商品開発やブランド力だけにとどまらないのが、ライフの進化だ。もう一つの大きな強みが、「現場密着型のマーケティング」である。岩崎社長は「お客様は価格だけで動くわけではない。地域や店舗ごとに価値観は異なる」と語っており、全店を9つの顧客クラスターに分類。ID-POSやWebアンケートといったリアルデータを活用しながら、商圏ごとのニーズに応じて商品政策や価格設定を緻密に調整している。

たとえば、節約志向が強い地域では値頃感を打ち出す日替わりセールやPBの比率を高め、都市部では「ストーリー性のある商品」や「手間を省ける冷凍・惣菜」を拡充する。このように“お客様の顔が見える”売場づくりが、客数を底堅く支える構造を形成している。

横浜の「ライフグランシップ大船駅前店」は、そうした戦略の象徴的な店舗だ。オープン前に周辺住民を対象に実施したWebアンケートで、即食や簡便を求めるニーズが高かったことを受けて、サラダ・冷凍・惣菜を中心に再構成。初月から計画を大きく上回る売上を記録し、岩崎社長も「絶対売れると確信していた」と語っている。