「PBは安いだけ」ではもはや古い
トップバリュは2025年度に売上高1兆2000億円(前年比11%増)を計画している。年間で新商品やリニューアル品を約2500品目投入する中、その中核を担うのが冷凍食品だ。
物価高騰が続くなかで、PBの購入比率は年々上昇。クレオ社の調査では、生活者の約7割が「NB(ナショナルブランド)からPBへの切り替えが進む」と回答している。トップバリュの強みは、「生活者の声に最も近いPB」であること。土谷社長はこう語る。「当社ならではの多くのお客様の声を反映できる。メーカーとともに、従来の常識にとらわれない商品開発ができるようになってきた」
価格だけでなく、「おいしさ」「品質」がPBに求められる時代なだけに、冷凍食品はその勝負どころだ。
「レンジで焼き魚」や「冷凍アボカド」「冷凍焼きなす」「冷凍れんこんきんぴら」など、時短・健康・本格志向に対応した商品開発。「冷凍なのにおいしい」と感じさせる技術力と、「あって助かる」「また買いたい」と思わせる実用性の両立が、消費者の心をつかむ。また、こうしたクオリティーの高い商品は「冷食=手抜き」のイメージを一新する役割を果たしている。
専門店「@FROZEN」は“冷凍食品のテーマパーク”
こうしたPBの進化と並行して、イオンが注力するのが、冷凍食品専門店「@FROZEN(アットフローズン)」の展開だ。
2022年4月、千葉県浦安市の「イオンスタイル新浦安MONA」内に1号店を開業。以降、関東を中心に出店を加速し、2025年3月には埼玉県春日部市で15店舗目を開業した。
売り場面積330平方メートル前後、品揃えは約1400〜1500種類にのぼる。「ワタミの宅食」冷凍版や海外直輸入の味付きポテト、有名店監修のカレーやスープ、アサイーボウルや冷凍サンザシ飴など、冷凍の“新体験”が並ぶ。
売上構成比は既存のスーパーマーケットの2倍以上、客単価も1500円と高水準。ネットスーパーでの冷凍食品売上も前年比2倍になっている。
冷蔵庫から冷凍庫シェアを狙え!
@FROZENは単なる売場ではない。冷凍食品の新しいライフスタイル提案の場でもある。家庭の食卓を、忙しくても・健康的に・豊かにする。その可能性に着目したイオンは、今後も出店を続ける方針だ。
「冷凍庫は“サブ”ではない。いずれ冷蔵庫と並ぶ主役になる」と語るのは、イオンリテールの青木郁雄食品本部デイリーフーズ商品部長。冷凍食品が「便利で安い」から「おいしくて楽しい」へと進化する中、家庭の冷凍庫の在り方そのものが問われている。

