乗ってわかったクルーズ人気の理由5「食事も十分合格点」

究極の上げ膳据え膳

DPの食事は、落ち着いた雰囲気。朝はスモークサーモンにクロワッサン、夜はビーフウェリントン。どれも丁寧で繊細。レストランも毎晩変わり、テーブルサービスも英国式。

MSCは、真逆のラテン流。ピザ、パスタ、ジェラート、作りたてのモッツァレラチーズがマシンから出てくる。とにかく明るく、豪快で、お腹も心も元気になる。夜のディナーでは、スタッフが歌いながら料理を運んでくれるシーンもあり、「食事は楽しむもの!」というイタリア文化が全面に出ていた。

2つの船は間違いなく幸せな時間をくれた。

船上の空中アスレチック
写真提供=筆者
船上の空中アスレチック。強風で使用中止になることも
チェジュ島に上陸。庶民で賑わうアワビ鍋のお店で乾杯。すごく美味しい!
写真提供=筆者
チェジュ島に上陸。庶民で賑わうアワビ鍋のお店で乾杯。すごく美味しい!

乗ってわかったクルーズ人気の理由6「“人生観”が変わる」

どちらの船もそれぞれの魅力に輝いていた

2度の乗船は夫と一緒だったが、夫は「陽気で気楽でいいね。僕は、MSCにまた乗りたい」と楽しんでいた。けれど、筆者はやっぱりイギリス客船(DP)の落ち着いた雰囲気のほうが、心が休まる気はする。値段は上がるが、バルコニーがあって、海が見えたほうが絶対いい。友人が「私は絶対にイギリス船派!」と譲らない気持ちはよくわかる。

最終的には、好みの問題で、その人の人生観、今の気分、そして旅に何を求めるかで、選ぶ船が変わってくるのだろう。ただ、初めて乗る人は、きっと思うはずだ。「なんなんだ、これは」。船の上では、その連続だ。

あの「着物の紳士」が両方の船に馴染んでいたことは、印象的だった。静けさにも陽気さにも、自分らしく楽しむその姿。クルーズの楽しみ方に「こうでなければいけない」はない。年齢も、国籍も、バックグラウンドも超えて、自分らしく船の時間を楽しめば、それが最高の旅になるのだろう。