「今どきの部下」が放った一言

その後は一人で飛び込み営業をやらされ、なかなかノルマを達成できない日々が続きます。

だからといって、上司の言葉に対して「それって具体的にどういう意味なんですか?」と気軽に相談できるような職場環境でもなく、とにかく何度も失敗しながら、試行錯誤を繰り返していくしかありませんでした。

その後もなんとか必死に仕事を続け、気づけば40代に。中間管理職となり、部下を何人ももつようになったAさんですが、ここでさらに困った事態に直面するようになりました。

Aさんの上司は、相変わらず曖昧な指示を平気で出すような人たちばかりです。それでも何となく成立してしまうのが日本のビジネスコミュニケーションですが、当然ながら何をどうしたらいいのかはさっぱりわかりません。

とはいえAさんも忙しく、「周知徹底よろしく」「もっとプロアクティブに頼むよ」「背水の陣で臨むように」といった上司からのセリフをそのまま部下に伝えてしまう場面も多かったそうです。

ところが、今の時代の部下はAさんが20代だった頃とは違います。「超売り手市場」で入社してきた希少・期待の人材であり、本人たちもそれを自覚しています。彼ら・彼女らは、当たり前のようにこう返してくるそうです。

「何をすればいいのかもっと具体的に言ってもらえないと、動けません」と。

拒否
写真=iStock.com/KatarzynaBialasiewicz
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氷河期ミドルが直面する壁

Aさんが部下だった時代は、こんなことを上司にあっけらかんと言えるような職場環境ではありませんでした。

研修もOJTもロクに受けられないような状況下で、それでも「なんとなくこうかな」という感じで試行錯誤してきた結果、とりあえず自分自身はどうにか成果を出せるにようになっていった。

これが、今日までサバイブしてきた氷河期世代ビジネスパーソンの典型的な実態なのではないでしょうか。

ただ、自分なりにやってきたことを言語化して部下に伝えるとなると、これは今までとは全く異なる力が必要になってきます。

研修やOJTが充実していている時期に入社できていれば、「こうやって伝えればいいのか」といったことを学び取る機会も多々あるわけですが、今の40代ビジネスパーソンの多くが、こうした機会を経ることなくミドルマネジメント層になってしまっている。多くの受講者さんと日々交流させてもらう中で、そのような認識に至っています。