また精神的にも不安定となり、高校2年の2学期、「本当は死にたくないのに、死んだほうがいいと思う気持ち」がふらっと出てしまい、ベランダから飛び降りようとしたところを父親に保護された。この直後、近隣の精神科に約2か月入院となっている。このため高校は留年になった。

興味分野への大学進学をきっかけに体調が回復

2度目の高校2年生は、見るからにつらそうだった。本人は学校がきついとは言わなかったが、よく発熱して休んだ。発熱の原因ははっきりしなかった。家で両親、特に父親と衝突することが頻繁になった。父親は社会的な地位のある人で、広告会社の管理職だったが、多忙で彼女の話をしっかりと聞いてくれなかった。

専門外来を受診してからはADHDの治療薬と睡眠薬の処方を継続したが、「眠れない、悪夢をみる」という訴えが頻繁にみられた。処方を変更しても、彼女の訴えに変化はなかった。今から思えば、発熱も睡眠障害も学校と家庭のストレスが原因の症状だったと考えられる。発熱については総合病院の内科を受診したが、身体的な異常はみられなかった。

(岩波 明/文春新書)
オリジナルサイトで読む