一つの言葉が失われた時、その言葉が、そしてその言葉が示していた存在が、いかに大切なものだったかが初めてわかる――。
ある日突然、物語の主人公として虚構の世界を生きることになった小説家・佐治勝夫。その物語の世界でのルールは、「一つずつ文字が消えていく」こと。
文字が消えれば、その文字を使った言葉が消える。言葉が消えれば、世界からその存在そのものが消えるという。「ぱ」が消えれば「パン」が。「ゆ」が消えれば長女の「弓子」が消えた。
ひとつ、またひとつと世界から存在が失われゆく中、徐々に現実と虚構が複雑に絡み合い、溶け合っていく――。
原作50万部。巨匠・筒井康隆による実験的名著をコミカライズ。



©Hiroaki Terada, Yasutaka Tsutsui 2025/KADOKAWA