存在の醜さにつながる物語の展開
このように様々な問題があることを意識しつつも、この短編で扱われている美醜、特に醜さのテーマを検討したい。差別的であるからと醜いという言葉を隠蔽するだけでは、実は醜いとこころのなかで思っていても言わないだけのことであって、本質的な解決にはならない。それと向かい合っていく必要があろう。
この短編で醜さがクローズアップされるのは、ここでのテーマが否定的なものであるのに関係している。実際のところ、そのF*という女性に関連して、詐欺や犯罪という見かけだけでない醜さに物語は展開していく。見かけの醜さは表面的なものに終わらず、こころと存在の醜さにつながっていくのである。
ここから先は無料会員限定です。
無料会員登録で今すぐ全文が読めます。
- 30秒で世の中の話題と動きがチェックできる限定メルマガ配信
- 約5万本の無料会員記事が閲覧可能
- 記事を印刷して資料やアーカイブとして利用可能
- 記事をブックマーク可能