「派遣の分際で」と見下す女性社員

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派遣労働者を就業させる理由別事業所数の割合

厚生労働省が09年に発表した「平成20年派遣労働者実態調査」によると、派遣労働者が就業している事業所の割合は13.8%。これを事業所規模別に見ると、1000人以上の事業所では93.3%と、企業の規模が大きいほど派遣社員の労働力に依存していることが明らかになっている。

派遣労働者を就業させる主な理由で最も多いのは「欠員補充等必要な人員を迅速に確保できるため」(70.7%)。次いで、「一時的・季節的な業務量の変動に対処するため」(35.1%)という理由が続く。まさに派遣社員の労働力が「雇用の調整弁」として見なされていることが浮き彫りとなっている。

前述の中村さんは、大手飲料メーカーで派遣社員として働いた経験がある。

「自分が絶対に入社できそうにない大企業に行けるというのは、派遣のメリットの1つ。そこで大きな仕事を経験できたり、いろんな人と知り合えたことは、私にとってプラスとなりました」

そう語る中村さんだが、いいことばかりでもない。正社員と同じ仕事をしても、給料面では歴然とした差があるからだ。

「部長さんが体育会系のノリで、『僕は社員も派遣社員も一緒だと思ってるから』とおっしゃって、同じ仕事を任されていました。その気持ちはうれしいのですが、給料があまりにも違いすぎます」

本当はもっといろんな仕事がしたい、もっと能力が発揮できると思っているが、つい自分でセーブしてしまう中村さん。

「これを私がやってしまうと、自分が大変になるだけだし、給料にも見合わない」と考えてしまい、自己嫌悪に陥るという。