お寺の経営を支えるベーシックな財源は、檀家に割り当てられるお寺の護符(法施としてお寺が法事のお勤めや法話をすること)の負担金、葬祭や法要においてのお布施など継続的に関係を維持する者から得られる収入だ。

そのほかに副業に精を出すお寺もある。坊主にとって、副業収入は大きい。

副業には、法務(葬儀・仏事などお寺の法要)に関わるものと世俗的なものに分けられる。法務に関わるものには、諸祈願、加持祈祷、人生相談、先祖・水子供養、ペット供養、お札、お守り、おみくじなど、何と、これらは課税対象にはならない。

また、お寺や関連施設を活用した墓地造営や観光は、一見して世俗的な趣もあるが、こちらも無税である。石材店と組んで境内を墓地として売れば、一度に墓地管理と法要の仕事が生じる。

世俗的な領域での収入源は多種多様だが、宗教活動と異なるものは課税の対象となる。しかし、法人税が原則30%であるのに対し、宗教法人は22%という軽減税率が適用される。

この税率の対象となる副業をざっと並べてみよう。

(1)物品販売業、(2)不動産販売業、(3)不動産貸付業、(4)金銭貸付業、(5)物品貸付業、(6)製造業、(7)通信業、(8)写真業、(9)席貸業、(10)請負業、(11)出版業、(12)印刷業、(13)倉庫業、(14)運送業、(15)旅館業、(16)料理店業その他の飲食店業、(17)周旋業、(18)代理業、(19)仲立業、(20)問屋業、(21)鉱業、(22)土石採取業、(23)浴場業、(24)理容業、(25)美容業、(26)興行業、(27)遊技所業、(28)遊覧所業、(29)医療保険業、(30)技芸教授業、(31)駐車場業、(32)信用保証業、(33)工業所有権等の譲渡・提供業。

とりわけ多く見られる副業は学校法人、特に幼稚園経営に関連するものである。教師や講師、アパートなどの不動産賃貸、老人ホームの経営のほか、CD・写真集・本の販売、環境整備事業なども範疇に入る。