ネット広告で気になった転売の情報商材を9000円で購入
通常の客はもちろん、単独で行動する個人転売ヤーすら勝ち目がほぼないといっていい。そのことに気づき、別の商材を模索しはじめたSの目に、こんなネット広告がやたらと飛び込んでくるようになる。
「誰でも簡単転売ビジネス」
「せどり副業のススメ」
「限定品」や「ゲリラ販売」といったキーワードでネット検索を続けるSへ向けられた情報商材のターゲッティング広告だ。実在するかどうかもわからない匿名の実践者の成功談がつらつらと書き連ねられたあと、「今だけ半額」と購入を急かすのがお決まりのパターンである。
暇つぶしに広告に目を通すようになると、ますますSのスマホ画面に表示される同種の広告は増えていく。徐々に、こうした情報商材に何が書かれてあるのか、興味が湧いてきた。
そこでSは、「週に20万円も余裕今すぐ始めるべきメルカリ転売」なる情報商材を購入してみることにした。この種の情報商材の中では手頃な9000円で、内容が月並みだったとしても諦められる金額だ。また、Sがフォローしている副業系のツイッターアカウントが、この商材の提供者について、一定の評価を下していたことも購入の決め手となった。
「週に20万円も余裕今すぐ始めるべきメルカリ転売」の中身
クレジットカードで支払いをすると、PDF形式のファイルのダウンロード用のリンクが表示された。クリックすると意外にも数秒でダウンロードは完了した。全15ページ、ところどころ図表が差し込まれており、テキスト量自体は5000字ほど。期待よりも少ない。
マニュアルの冒頭にはこう書かれていた。
「1年でもっとも楽に転売ができる数日間があります。それはクリスマスシーズンです」
それに続く内容を要約すると概ね次のとおりだ。
「子供のサンタクロースへの願いを聞いた親は、何が何でも用意しようとする。クリスマス前の1週間は定価の2倍や3倍で販売できるチャンス」
続いて、転売の対象とすべき商品については主にこう記されてあった。
「定価5000円~7000円程度の商品」
「サイズや色のバリエーションが少ない商品」
「知育系玩具は避けるべし」
それぞれ根拠も付記されていた。まず価格に関して、「子供の夢を守るために2万円程度までは出す親が多い。そのため、商品の定価はその2分の1から3分の1に収まるものが利益を最大化しやすい」。
2つ目については「バリエーションの多い商品は需要が散らばって在庫ロスや欠品などの機会損失につながる」とのことだ。さらに知育系玩具を避ける理由は「知育玩具をサンタクロースに希望する子供は少ないため」としている。