企業の副業容認率が上昇しているが、いざ副業を始めたものの、思い通りにいかなかったという声も少なくない。副業にくわしい藤井孝一さんは「副業には絶対にやめたほうがいいものがある。始める前にそれを知っておいたほうがいい」という――。
自転車で配達の仕事をする人
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なぜ副業への関心が高まっているのか

コロナ禍でリモートワークが増えて、時間や場所の制約がなくなったことから、空いた時間をうまく使って副業したい人が増えています。また2018年に、国をあげて副業を増やしていこうという方向になり、それを受けて企業側も制度が改善したことから、副業がしやすくなりました。

実際、パーソル総合研究所の調査(図表1)によると、企業の副業容認率は、21年の55.0%から23年は60.9%と上昇しています。

さらに顧客側の意識の変化もあります。個人であれば、対面せずオンラインでサービスを受けて、それに対してお金を支払うことへの抵抗がなくなっていますし、企業としても、プロジェクトの一部分を、外部の専門家に単発で発注することが増えています。

たとえばプログラミングやデザイン、ウェブマーケティング、イラスト、ライティング、翻訳などです。

企業としても働き方改革などで、なかなか残業させられないので、外部の人材にお金を払ってでもお願いしようという動きもあり、そういった面からも副業をしやすくなっているという印象は強いですね。

副業を希望する人と副業する人を求めるマッチングサービス市場も拡大しています。今後さらに普及していくと、ますます手軽に利用する人が増えるでしょう。副業に対するハードルは確実に低くなっているといえます。

【図表1】企業の副業容認率と副業受け入れ率
出典=パーソル総合研究所「第三回 副業の実態・意識に関する定量調査」