――急成長するアジア市場で先行していたのは、かつては欧米の金融機関でしたが、リーマンショック後、彼らの勢いは後退して邦銀にとっては追い風となっています。
「リーマンショック後、欧米の金融機関にパラダイムシフトが起きたことは間違いないと思います。特に投資銀行はその典型例ですが、リーマンショック後の様々な規制強化などによって、彼らが商業銀行に回帰しているのが、現状ではないでしょうか。この商業銀行業務は我々がずっとやっていた業務であり、非常にアドバンテージがありますので、彼らとは経験の厚みが違うと思います」
――商業銀行の業務では、どのような成果が出ているでしょうか。
「アジアにおける業務拡大はもちろんですが、昨年の12月には、メキシコ最大の石油化学事業に対して、我々が単独のアレンジャーとなりました。他の邦銀が全く参加していない事業にもかかわらず、です。
これは、我々のプロジェクトファイナンスにおけるアレンジ力が国際的に評価された証左だと思います。このプロジェクトファイナンスにより、PFI(プロジェクト・ファイナンス・インターナショナル)誌の『グローバルバンクオブザイヤー』に選定されましたが、こうしたノウハウは、商業銀行の業務の中で培われたものだと思います」
成長産業を育成する際のキーワードは「規制緩和」「規制改革」
――昨年度末の政権交代で、日本では安倍晋三内閣が誕生しました。
「真のグローバル化、アジア重視などに我々は取り組んでいますが、それらは日本という基盤があってのことです。その意味では我々が貢献できる分野はいろいろあると思います。例えば、総理が強く打ち出されている『製造業の再生』です。個別の企業名は挙げられませんが、我々にはこれまで事業再編や業界再編などのお手伝いをさせていただいてきた知見、経験があります。
また、我々の銀行内には企業調査部とともに個別業界をずっと見続けているコーポレート・アドバイザリー本部があります。この部署などは、個別業界の知見を蓄えていますから、今後の企業展開や、事業展開について様々なアドバイスを提供できるはずです」