サービスとは奉仕である
お客様の応対で大切なことの一つに、「お客様の気持ちを察すること」があります。
お客様がなぜ今そういう言動や態度をとるのか、気持ちをわかってさしあげる。
サービスという言葉の意味には、形あるものや経済的に価値あるもののやりとりという意味の他に「奉仕する」という意味があります。奉仕とは相手を大事にする気持ちが元になって、言葉にあらわしたり、行動するということです。
お客様の気持ちを理解しようとするプロセス、そしてそれがお客様にも伝わることが、その場の満足度を大きく左右するのかもしれません。
その際に、大切なことは何でしょうか?
先述の知人の例でみると、「植木鉢を壊した」と言われたことに対して、壊していない知人が「私は壊していない」と言い返す。
内容に関して言えば正しいわけです。壊していないものは壊していない。
しかし、ここでは主張の正しさを証明することが大切なのでしょうか?
まさにこういう場面でこそ、内容の正しさよりも相手の心情を慮ること、お気持ちを察して、わかってさしあげること。そして、そこからコミュニケーションをしていくことが大切なのです。
例えば、「大事な植木鉢だったんですね」とお伝えしてもよかったかもしれません。
正しいか正しくないかではない
人は、ずっと一つの感情にはとどまりません。
怒りの感情も次第に変容していきます。
「自分のことをわかってくれている」または「わかろうとしてくれている」という態度や言動に触れることで、怒りは静まり、逆に今まで以上に信頼されたり、より心を開いてくれるものなんですね。
正しいか正しくないかではなく、お客様の気持ちをわかってさしあげること。
この視点、感覚を大切にもってほしいなと思います。
新卒でOA機器販売会社に入社し、販売戦略の仕事に携わる。その後、ANAに客室乗務員として入社。チーフパーサー、グループリーダー、OJTインストラクター、客室部門方針策定メンバーを経験。ANA退社後は、研修講師として活動。著書に『仕事も人間関係もうまくいく「気遣い」のキホン』『マンガでわかる!仕事も人間関係もうまくいく「気遣い」のキホン』『気遣いできる人は知っている! 会話のキホン』(以上すばる舎)、『ビジネストラブル脱出フレーズ80』(学研プラス)、『仕事の成果って、「報・連・相」で決まるんです。』(大和出版)などがある。