変動金利が向いている人の条件
先の30代夫婦の場合、今のところは5年後に大きな生活の変化があるとは考えにくいようですが、固定金利が一旦終了する5年後を目安に、妻がキャリアアップのために転職する、夫は5年後、今ウマが合わない上司から離れて、例えばマネジメント部に異動して結果的に収入が下がるケースもあり得ます。そんな形で、5年後を見据えて、あえて目標を立てることもできます。
それに対して、変動金利は市場金利の動向によって金利が変動するので、急に金利が上がった場合、それに追随して返済額が膨らみます。この場合、返済額は一般的には半年に一度見直されます。
変動金利は固定金利よりも金利が低いことは前述しましたが、これまでは、特に変動金利は1%以下という破格の低さでした。バブル時に比べればかなり低くなっていますが、今後の金利の動きには注意が必要です。
このため、変動金利は向いている人のみ選ぶべきです。ぜひ、図表1の質問を参考にしてください。
「5年ルール」「125%ルール」を活用
これからは金利がかなり上がる可能性が高まっています。どこまで支払額が膨れるか、不安に思う方もいるでしょう。
仮に、欧米のように7%くらいまで上がったら、住宅ローン返済は相当な重荷になってくるはずです。
今月まで返済額が7万円だったのに、来月から14万円になったりすると、払えなくなってしまうこともあります。
脅すわけではありませんが、人生にはアクシデントがつきものです。もしも病気になったり、リストラにあったりして収入がなくなり払えなくなった場合は、督促状が届きます。
そして半年くらい経つと、保証会社がローン残債を一括返済し、それを返すために自宅は競売物件として売却され、退去しなければならなくなります。
こんな「もしも」の場合は、すぐに住宅ローンの毎月の支払額を減額するなどの対策をとることです。
実は、こんなケースに備えて、変動金利の場合の対策があります。それは「5年ルール」。銀行で今の返済額が滞った時に「5年ルールを設置しますか?」と聞かれることもあるかと思います。
変動金利にこの5年ルールが設けられている銀行では、金利が上がっても、すぐには返済金額は変更されず、5年間は据え置いてくれるものです。家計への負担が増えないように設置されたルールです。
また、「125%ルール」というのもあります。これは見直し後の月々の返済額が、125%までしか増えないというものです。
例えば、毎月の返済額が10万円であった場合、金利が上がって15万円になると大変です。そこで見直し後の返済額の上限を12万5000円としてくれるものです。
確かに5年ルールや125%ルールは、住宅ローンの返済額が急に増えて負担に苦しむリスクを避ける機能があります。