マンションを買った価格で売れなくなる前に
さらなる懸念材料としては、マンション価格が下落する恐れがあることです。
海外と比較すると日本のマンション価格はまだ安いと考える人もいますが、ここまで上がっているので、これからは下がるだけだと考える人もたくさんいます。
2013年以降、10年以上も価格は上がり続けています。しかし、1990年のバブル崩壊と2008年のリーマンショックでは、いずれもその直前の2割近く価格が下落しています。そして、今はバブル期を超えた水準にまで価格が高騰しています。5000万円が2500万円と半分に下がることもないわけではありません。
また、もしも転勤や転職などで急な引っ越しを余儀なくされ、マンションを売る必要が出た場合、買った価格で売れないこともあり得ます。そうなると、相当、値を下げて売却する必要があります。
価格が下がるだけではありません。住宅ローンの支払額には、当然、利息分も含まれているので、今後、金利が上がると、その負担が増えてくるのです。
この金額をどう考えるかです。買うなら、物件を慎重に賢く選ばないといけません。
築20年くらいまでの古すぎないマンションが狙い目
では、買うならどんなマンションを探せばいいのでしょうか?
もう新築は高くて手が届きませんから中古マンションを探すことになりますが、古すぎると修繕費でかえって高くなります。
ここからは夫36歳・妻30歳の夫婦を例に考えてみましょう。この夫婦が、これから老人ホームに入所するとしても、まだ20〜30年あります。とすると、その期間住み続けることを考えて、築20年くらいまでの古すぎないマンションを買うことです。
築40年以上のマンションは、今は全体の2割ほどを占めていますが、20年後には4倍近くになります。そのため、今後は老朽化したマンションの建て替えを促進できるよう、法律が改正される予定です。正式名称を「建物の区分所有等に関する法律」と言います。
築40年以上のマンションの建て替えに関しての決議は、これまではマンションの所有者および議決権の「5分の4以上」の賛成が必要でした。しかし、これが4分の3で可能になります。つまり、マンションの建て替えが進む可能性が高くなるのです。
しかし、もし建て替える場合、多くのマンションで修繕費が足りていないのが現状です。そうなると、一戸あたり1000万〜2000万円を支払わなければならない場合が出てきます。
しかも建て替え終了までの半年ほどの工事期間はホテルなどに滞在したり、別の住居を探したりしなければなりません。その費用も発生します。