シミュレーションの3ステップ

シミュレーションの仕方は、図表2のステップ1、2、3です。

そのシミュレーションが具体的であるほど臨場感が出てきます。そして相手とシンクロします。普段から3つのステップを回している人は、ちょっとしたやりとりでも相手の立場に立って考える思考回路が回りはじめます。

仮に彼女から「どっちのネックレスがいいと思う?」と聞かれたとします。

瞬間的に相手のことを考える習慣がある人は、自分の言いたいことはあえて引っ込めて、

1 「どっちが気に入っているの?」と質問する
2 「こっちがいい!」と自分の意見を正直に伝える
3 「Aは色が素敵だね。Bは形が可愛いね」と、それぞれのいいところを伝えて決定の後押しをする

相手の状況によって1、2、3の対応を変えます。

反対に、いつも「一言多い人」や「一言足りない人」は、自分の軸で話してしまうので、相手の心を打つことができません。

何かを説明するときも、プレゼンするときも、成功するのはいつだって相手の顔を思い浮かべる人です。

シミュレーションをして一発で射貫く

頭の中で相手との会話を想像する

では、どうしたらシミュレーション力を高めることができるのか?

例えば、部下のミスを指摘する場合、「○○君は昨日遅くまで仕事をしていた。もしかしたら今日遅刻してくるかもしれない。もしそうだとしたらどうする?」

1 今回は何も言わずに様子を見る
2 やんわり忠告する
3 ズバッと指摘する

どれが正解ということではありませんが、事前に想定しておけば、いざその場面になっても、イラッとして口走ることも、思わず口論することもないでしょう。

このように想定力を高めるには、「まるで相手と会話しているかのように頭の中で想像する」ことがポイントです。

これを徹底的におこなっているのが通販番組です。

通販番組では、事前に視聴者の声を想像します。

そして番組の冒頭は、まず視聴者が共感するようなストーリーを展開していきます。

「立ったり座ったりするのがきつくなってきましたよね……」
「布団の上げ下ろしがしんどいですよね……」
「階段の上り下りで息切れしますよね……」

と。

そのあとに、「そういった運動不足を解消するにはコチラ!」と健康グッズが出てきます。

実際に視聴者と会話しているのではないかと思うほど緻密に設計しています。

私が小さい頃、実家には母が購入した健康グッズが溢れていました。結局、購入したあとは誰も使わなくなるのですが(笑)。

やはり売り方が上手いのです。