相手の状況をイメージして想定する
ところが、この大切な概念が、抽象的なスローガンで片づけられ、実際に「相手の立場に立って考えるにはどうしたらいいか?」に答えられる人は少ないです。
そこで、あえて言語化します。
当社が10万人のコミュニケーションをサポートし、たどり着いた答え……。
相手の立場に立って考える方法は「シミュレーションシンキング」です。
ロジカルシンキングは論理を掘り下げる思考法、ラテラルシンキングは考えを広げる思考法、シミュレーションシンキングは実際を想定する思考法。
すなわち相手の状況や状態を明確にイメージして想定することを意味します。
不朽の名作、世界中でベストセラーとなった書籍、デール・カーネギー著『人を動かす』(創元社刊)の「人を動かす3原則」のひとつが「人の立場に身を置く」ですが、まさにこのことです。
会話のプロが相手の心を射貫ける理由
例えば、営業職の人なら、社内で商談の練習をする際、自分の営業トークを録音して聞くこと。それを聞いて「自分だったら買うだろうか」と顧客の気持ちになってシミュレーションします。
人前でスピーチするなら、練習で自分が話しているところをスマホで撮影して、聞き手がどんな気持ちで話を聞くだろうかと考えます。
当スクールではこういった客観視するトレーニングを頻繁におこなっていますが、実際やってみると9割の受講生が、「こんな営業では買いませんね……」とか「この話し方では聞き手は寝てしまいますね……」と自ら内省します。
ただ、これをやる受講生のセールストークやプレゼンは、別人のように生まれ変わります。答えは簡単で、相手の立場に身を置いて考えてみたからです。
会話のプロが「一言多い」も「一言足りない」もないのは、相手に憑依するレベルでシミュレーションをおこない、相手が聞きたい言葉、してほしいコミュニケーションを明確に掴んでいるからです。
だから一発で相手の心を射貫けるのです。