検索エンジンとChatGPTは性質が逆
また、LLMの学習には極めて長い時間と費用がかかるので、何度も学習は行えません。2023年9月時点で、ChatGPTは2022年1月までの情報しか利用できません(12月現在、GPT-4であれば2023年4月までの情報を利用可能)。一方、検索エンジンは新しいウェブページができたら、数時間程度で巡回し、検索にヒットするようになります。
検索エンジンを利用して物事を理解するには時間がかかります。何度も検索キーワードを変え、数多の検索結果のウェブページを閲覧し、業者が書いたアフィリエイト記事かどうかを確認し、記事で自分の中で咀嚼し……、というプロセスを経て初めて自分が本当に調べたかったことを理解することができます。
このような特性を表にすると次のようになります。検索エンジンとChatGPTは性質が逆である箇所が多いことが見て取れます。
◆検索エンジンが得意なこと
・個別具体の知識の検索
・最新の資料の参照
◆検索エンジンが苦手・できない利用者の仕事
・複数の資料の整理、演繹、推論
・ウェブページの要約
・複数のウェブページを包括するような抽象概念や、常識の獲得
◆ChatGPT(LLM)が得意なこと
・複数のウェブページから獲得された、抽象概念や常識の利用
・複数の資料の整理、演繹、推論
◆ChatGPT(LLM)が苦手・できない利用者の仕事
・個別具体の知識の参照
・最新の資料の参照
・ウェブページの直接閲覧による事実確認
・個別具体の知識の検索
・最新の資料の参照
◆検索エンジンが苦手・できない利用者の仕事
・複数の資料の整理、演繹、推論
・ウェブページの要約
・複数のウェブページを包括するような抽象概念や、常識の獲得
◆ChatGPT(LLM)が得意なこと
・複数のウェブページから獲得された、抽象概念や常識の利用
・複数の資料の整理、演繹、推論
◆ChatGPT(LLM)が苦手・できない利用者の仕事
・個別具体の知識の参照
・最新の資料の参照
・ウェブページの直接閲覧による事実確認
このような性質があるため、検索エンジンとChatGPTは適宜使い分けなければいけません。また、両者の利点を掛け合わせたBing Chat(現:Copilot)などもありますが、現時点ではウェブサイトを解釈した上でハルシネーションを起こすなどの問題が残っています。とはいえこれは時間が解決してくれる問題でしょう。