雑な仕事ぶりは正当化すべきでない
こうした指示待ち族(特に、未熟な仕事ぶりを「指示を受けていないから」と正当化できてしまう人たち)に対して、彼らはそうした世代なのだから、「彼ら向けに十二分に丁寧な指示・説明をすべき」と考える人たちもいるようです。
指示待ちであることを非難するのではなく、それは仕方のないことだから、彼らを管理する側の意識も変えるべきというわけです。
それは結構なのですが、私としては、自分の仕事ぶりが十分ではなかったことについて、「そんな指示は受けていなかったから」と言ってのけることが許される職場があれば、そうした風土は問題視すべきかと思います。
確かに教えてもらわなければわからないことは、特に仕事の経験が浅いうちには多くあると思いますが、与えられた仕事を十分なクオリティでこなすために、ビジネスの一般常識や基本的なスキルは持ち合わせておく。そのように心がけるのが社会人として必要なことでしょう。
少なくとも、雑な仕事ぶりを正当化する人のはびこる職場が健康的であることはないはずです。職場でのコミュニケーションの取り方には気を遣う時代ですが、こうした点は間違わないようにしたいものです。
もともとグローバル人材育成を専門とする経営コンサルタントだが、近年は会社組織などに存在する「ハラスメントの行為者」のカウンセラーとしての業務が増加中。慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科では、非常勤講師としてコミュニケーションに関連した科目を受け持っている。著書に『好きになられる能力 ライカビリティ』(光文社)『英語で学ぶトヨタ生産方式』(研究社)『英語で仕事をしたい人の必修14講』(慶應義塾大学出版会)など多数。