「子どもにゲームを与える」は支配や搾取につながる

ゲームを始めた理由はそれぞれで、友人がやっているから自分もという場合もあれば、試験勉強のご褒美ほうび、大病した際に一人きりで過ごすのがかわいそうで与えた、という場合もあるだろう。また、おとなしく黙って座っていてもらうために親から渡される場合もあり得る。

大人の集まりに子どもを連れていって騒がれ、「静かにしなさい」と叱るよりも、ゲームを与えるほうがいい、という軽い気持ちかもしれない。ただ、大袈裟おおげさに言うと、そういう与え方自体が、子どもに対する支配や搾取さくしゅを目的としているとも言える。

「子どもにゲームを与える」は支配や搾取につながる
写真=iStock.com/takasuu
「子どもにゲームを与える」は支配や搾取につながる(※写真はイメージです)

「言うことを聞く子どもにしてやる」と覚せい剤を打たれた

依存症の形成には、脳の中で報酬系という「やればその個体にとって有益であるので、褒めてその行動を促すために進化してきた経路」の活性化が関わる。褒めて育てるので報酬系というわけである。

報酬系の刺激を欲しがるのは、脳がとても健気けなげであるためだ。

本来は生物として個体の生存を高める行動に対して、報酬系が作動する。

その報酬系ではドパミンという神経伝達物質のやりとりがメインとなる。

がんばった時や、熱中した時に報酬系が活性化し、ドパミンが出るのが「自然」な状態だ。

このドパミンを、そういう出来事をすっとばして直接放出させる物質の一つに覚せい剤がある。

「言うことを聞く子どもにしてやる」と父親に覚せい剤を打たれたのが、覚せい剤を使用した最初だとおっしゃる、年配の依存症の方に、筆者は出会ったことがある。