※本稿は、山本直人『聞いてはいけない スルーしていい職場言葉』(新潮新書)の一部を再編集したものです。
「成長できる環境で働きたい」という人の本音
いつ頃からか定かではないのですが、就職活動時に「成長できる環境で働きたい」と言う人が目立つようになりました。
2000年代に入って起業が増加し、いわゆるベンチャー系と言われる会社を志望する人が増える中で自然に目立ってきたと思いますが、ではどのような環境なら成長できるのか? ということまで深く考えている人は少ないと思います。
会社がアピールするのは、「若いうちから大きな仕事を任せる」とか「新しいことにチャレンジできる」といった機会付与に関することがもっとも多いでしょう。さらに、教育研修システムなどの充実について積極的であることも、売りになります。
採用するからには、できるだけ大きな仕事を成功させてほしい。たしかに、それは会社にとっても社員にとってもいいことです。その一方で、誰もが成功させられるわけではありません。
仕事の能力をそれなりの水準まで高めるには本人の努力が必要です。当たり前だと思われるかもしれませんが、どのくらいの努力が適切なのか? というのはとても難しい問題です。
努力、と書きましたが実際には負荷が伴います。できないことができるようになるためには、時間が必要です。より成長しようと努力するならば、身体的にも精神的にも負荷は増していきます。
ホワイトな職場を辞める若手社員が増えている
そうだとしても、こんなことが会社案内に書いてあるでしょうか。
「目標達成のためには、チームのみんなが疲労困憊することもあります」
おそらく、書いてある会社案内はないと思います。しかし、そういうことも実際にはあるでしょう。
アスリートであれば、身体がクタクタになるまで練習することもあります。アーティストだって、アイデアを生み出すためには徹底して悩みぬくこともあります。成長のためには努力が必要で、努力は負荷を伴い、負荷は疲労にもつながる。疲労は過労にならないようにすれば、やがて回復します。