対照的な2人の事例でわかる「思い込み」の影響

■Aさんの事例

Aさんは文章やプレゼン資料作成がとても上手です。

しかしプレゼンとなると話は別。人前に出ると顔が赤くなり、手に汗を握ってしまいます。

「今日こそはうまくプレゼンするぞ!」と意気込んで完璧なスライド資料と台本を用意したAさんですが、いざプレゼンが始まると、「私はプレゼンでいつも失敗する」という思い込みが頭をよぎりました。

オフィスの役員室でプレゼンテーションを行う認識できないビジネスウーマンのリアビューショット
写真=iStock.com/Cecilie_Arcurs
※写真はイメージです

極限の緊張状態でうまく話せません。

さらに悪いことに、スライドと違う部分の台本を読んでしまい、聞いている人を混乱させてしまいました。

顔が真っ赤になったAさんは、

「あー、やっぱり私はいつもプレゼンで失敗する。今回も失敗した」

と感じ、Aさんの思い込みは、ますます強くなっていきました。

■Bさんの事例

Bさんは、文章やプレゼン資料作成が得意ではありません。しかし、人前で話すのが上手です。

準備は完璧ではなくても、なぜか本番ではうまくいってしまいます。

「今日も本番でうまく行くぞ!」と意気込むBさん。

修正の余地があるスライド資料と台本でプレゼンを始めたところ、さっそく資料の中にちょっとした間違いを見つけました。

Bさんはとっさに口頭で修正してお詫びをし、聞いている人も納得している様子です。

「あー、やっぱり私は本番に強い。次回、資料をもう少し丁寧に作ったら、もっといいプレゼンができる!」

Bさんの思い込みは、ますます強くなっていきました。

いかがでしたか。

もしかすると、「そういえば自分も」と思い当たることが浮かんだ人もいらっしゃるかもしれません。

Aさんは、完璧な資料を準備し、「今日こそはうまくプレゼンしたい!」と思っていました。

しかし「いつも失敗する」という思い込みがマイナスに働いてしまい、結果的に失敗してしまいました。

このようなマイナスの思い込みを「リミッティング·ビリーフ(Limiting Belief)」といいます。