感情も行動も「思い込んだ方向」に動いていく

プレゼンで失敗するかどうかは、やってみないと分かりません。

にもかかわらず、Aさんは「いつも失敗する」と信じているために、感情や行動がマイナスの方向へ引っ張られてしまったのです。

一方Bさんは、「私は本番に強い」というプラスの思い込みを持っています。これを「エンパワーリング·ビリーフ(Empowering Belief)」といいます。

Bさんは苦手なことを気にすることなく、「人前で話すことが上手で、本番に強い」という前向きな思い込みに目が向いています。

その結果として、ピンチをうまく切り抜ける現実を作り上げているのです。

これをお金の話に置き換えてみましょう。

もし「お金は汚いもの」と思っていたらどうでしょうか?

お金のマイナス面にばかり注目してしまうので、脳はお金が汚いことを証明する情報を集めます。

そのため、感情も行動も思い込み通り、マイナスの方向へ動いていきます。

一方、「お金は人生を豊かにしてくれるもの」という思い込みを持っていれば、プラスの部分に目を向けて、結果的に豊かになるための行動をとるのです。

脳を含む神経回路の9割が6~9歳までに作られる

そもそも、この「思い込み」はどうやって作られるのでしょうか?

諸説ありますが、社会学者のモリス·マッセイ(Morris Massey)博士の研究によると、人の思い込みや価値観は、21歳までに作られます。

その中でも、「三つ子の魂百まで」のことわざのように、幼少期に刷り込まれたこと、特に7歳までの影響が一番大きいといわれています。

これはスキャモンの発育曲線とも一致します。

スキャモンの発育曲線では、脳を含む神経回路の9割が6~9歳までに、残りの1割は12歳までに完成するといわれています。幼少期での体験が、その後の人生に大きな影響を及ぼすことがよく分かります。

さらにモリスは、思い込みや価値観が形成される期間を3つに分けて、次のように説明しています。