小学校算数の筆算の計算時に定規を使う指導をする教員は少なくない。これにナンセンスとの批判の声も出ているが、小学校教員の松尾英明さんは「筆算を含め算数のノートをきれいに書くべきか否かは教員の間でも何十年も前から議論が分かれているが、筆算時の定規の使用には一定の教育効果がある」という――。
定規
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「筆算では必ず定規で線を引かせる」に噛みつく人

「算数の筆算では必ず定規で線を引かせる」

小学校でそんな指導方針をとっている教員は少なくない。例えば、筆算で上段に「49」、下段に「16」と書いて、足し算する。その答えを書くときに16の下に引く横線。これをしっかり定規を当てて引く。

この指導に対し、「フリーハンドでビーッと引けばいいだけ。実際、自分の子供時代はそうしていた。定規必須なんてナンセンスだ」といった批判的な意見が数多く寄せられている。学校の「謎ルール」の一つとして批判の的にもなっている。細かい校則や、学期ごとに机用などの雑巾を各家庭が持っていくとか、週末ごとに上履きを持ち帰って洗わなければいけないとか、日本の学校に蔓延するそうしたヘンなしきたりだというのだ。

一方で、「筆算は必ず定規」には全く頓着しないという教員もいる。こちらは自由で良さそうだが、ここに対しては「ノートが雑で汚い」「ノートは丁寧に書くよう指導しておいてもらわないと、のちのち困る」という保護者や教員の声も出る。

どうして意見が割れるのか。

学校の「謎ルール」はなぜなくならないのか、また、本当にそれは「謎ルール」なのか。

本稿では、現場のリアルな感触からその実像を分析し、お伝えしていく。